方法論 · v1
Climate Future Viewer のデータの作り方
Climate Future Viewer は、IPCC 報告書を駆動するのと同じ CMIP6 マルチモデル・アンサンブルの出力を、都市単位の 1 つの数字に翻訳します — 2050 年、その都市の年間最も暑い日が何度になるか。一般読者・記者・分野の科学者の誰もが、結果を共有する前にパイプラインを検証できるよう、すべてのステップを文書化します。
1. なぜ作ったか
ほとんどの人は IPCC 報告書を読まないが、誰もが住所を持っています。私たちは IPCC が用いるのと同じ CMIP6 マルチモデル・アンサンブルを集約し、2050 年の結果を都市スケールの格子セルに投影し、同じ地点の実際の過去ベースラインの隣に並べて表示します。目的は、気候の未来を「私の家」という人間スケールで読めるようにすることです。
2. 未来シナリオ — Copernicus C3S CMIP6 アンサンブル
Copernicus Climate Data Store の sis-extreme-indices-cmip6 データセットを使用します。これは 24 個の CMIP6 全球気候モデルがそれぞれ SSP2-4.5 シナリオ (現行政策と概ね整合する中排出経路) で実行した、ETCCDI による気候極値指数を束ねたものです。各モデルから txxETCCDI 変数 — 年間日最高気温の最大値 (TXx) — を約 2.8° (~280 km) 解像度、realization r1i1p1f1 で取得します。
3. 過去ベースライン — NASA POWER (MERRA-2 再解析)
気候モデルは過去を「予測」しません。再シミュレートします。そこで全都市を実測ベースの参照に anchor します。NASA POWER は、全球の地表観測を格子に同化した MERRA-2 再解析から、日単位 2 m 最高気温を提供します。各都市について 1981–2010 の年間 TXx を計算し、30 年平均を取ったものを「現在」ベースラインとします。
4. アンサンブル幅 — 幅が意味するもの
24 個の CMIP6 モデルは完全には一致しません。アンサンブルから 3 つの数字を報告します — 中央値 (見出しとなる 2050 値)、10 パーセンタイルと 90 パーセンタイル (p10–p90 帯)。帯が狭ければモデル間で概ね合意があり、広ければその地点の 2050 気温について科学的不確実性が実際に大きいということです。中央値だけでなく、必ず帯も併せて読んでください。
5. 時間軸 — 「2050 年」の正確な意味
単一年の気候出力はノイズが大きいです。本サイトの「2050 年」は、実際には 2041–2060 の 20 年平均 TXx を指します。この窓平均は短期の内部変動を打ち消し、強制された気候シグナルを抽出します。v1 では SSP2-4.5 のみ表示。SSP1-2.6 (低排出) / SSP5-8.5 (高排出) との比較は phase 2 で追加します。
6. 限界 — 読者に正直に
- 格子解像度. ~280 km の CMIP6 セルは沿岸都市 (東京・上海・ムンバイ) を海洋セルにマッピングすることがあり、TXx が実際より低く出ることがあります。Phase 2 ではこれらの都市を ~25 km の CORDEX 領域ダウンスケーリングへ移行します。
- 単一シナリオ. v1 は SSP2-4.5 のみ表示。実際の気候適応計画は SSP1-2.6 〜 SSP5-8.5 を全て見る必要があり、比較機能は v2 ロードマップに含まれます。
- 単一 realization. モデルあたり r1i1p1f1 のみ使用。複数 realization の平均化は帯を狭めるもので、v2 作業です。
- 単一メトリック. TXx は「年 1 回の最も暑い日」です。猛暑日数、湿度補正指標 (WBGT)、夜間最低気温、連続猛暑などは扱っていません。phase 2 で別メトリックとして追加します。
7. Attribution (帰属表示)
- 気候シナリオは Copernicus C3S CMIP6 アンサンブル (sis-extreme-indices-cmip6).
- 過去ベースラインは NASA POWER (MERRA-2 再解析).
- 本サイトの数値はシナリオ projection であり、予測 (prediction) ではありません。天気予報のように引用しないでください。
8. License
Copernicus C3S データは Copernicus open license で公開。NASA POWER データは public domain。本サイトが表示する加工結果 (都市別アンサンブル中央値、パーセンタイル帯、デルタなど) は当パイプラインの出力であり、Climate Future Viewer by Volt AI への attribution を明記すれば fair use の範囲で自由に引用・スクリーンショット可能です。
9. 方法論バージョン
現在 v1 (2026-05-08 リリース)。都市別の値が 0.1 °C 以上動く変更が入った場合、バージョンを上げ changelog にエントリを追加します。過去に共有されたスクリーンショットが引き続き解釈可能であるようにするためです。
v1 — 2026-05-08